独学で行政書士 憲法のツボ3(人権の私人間効力)

こんにちは。
ところで、今更ですが、このブログのトップページにある画像、何かわかりますか?
これは「橿原神宮」と呼ばれる、奈良県橿原市にある神社なんです。
奈良いうと東大寺や法隆寺、それから平城京などが有名で、橿原神宮は少し知名度が低いかもしれませんが、奈良を代表する文化財です。
初代天皇とされている(諸説有り)、神武天皇が祀られているので、まさに日本の歴史の原点って感じですよね。
毎年、初詣などで賑わう場所なので、是非みなさんも足を運んでみてください。

 

さて、今日は人権の私人間効力についてです。

人権の私人間効力

憲法の人権規定は、国家と国民の間で、国家権力による国民の権利侵害を排除するためにあり、かつては、国家と国民の間でのみ適用されると考えられていました。
しかし、資本主義社会の発展により、企業やマスメディアなどの強力な力をもった集団が、国民の権利を侵害するようになったため、私人間での憲法規定の適用が問題となったわけです。

私人間効力の問題の背景の流れはこんな感じですね。

 

2つの学説~直接適用説と間接適用説~

私人間への人権規定の適用については諸説あります。
代表的なものとして2つの考え方があります。(実際は3つありますが)

直接適用説は、私人間にも直接適用されると考えるものです。しかし、これでは、私人間の関係を憲法が大幅に規律してしまい、私的自治の原則(私人間のことはできるだけ私人間同士で決めるという原則)に反するという問題点があります。

 

そこで現在、通説・判例となっているのが、間接適用説です。これは、私人間に間接的に適用する、具体的には私人相互の関係を規定した法律の一般条項に憲法の考え方を取り込んで、解釈し適用するという感じになります。私人相互の関係を規定した法律の一般条項とは、例えば、民法90条の「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」という条文ですね。

公序良俗というのは抽象的な概念ですが、例えば、個人の思想を否定するようなことがあったとき、憲法で保障されている思想・良心の自由が侵害されていることになりますから、思想・良心の自由の侵害を公序良俗違反として捉えるということです。
まあ、この説でも、一般条項の解釈の幅が大きく、解釈の仕方によっては、非適用にも直接適用にもなるという問題があります。

 

3つめは非適用説ですが、これはあまり支持されていないので、上2つの学説を知っておくべきです。

まあ、私人間効力の問題は応用の学説問題として、出題される可能性があります。
一応準備は大事なので、それぞれの説の内容と問題点くらいは整理しておくといいですね。

 

判例を学ぶ

三菱樹脂事件(最大判昭48・12・12)

事案:大学卒業後、三菱樹脂株式会社に採用された者が、在学中の学生運動歴について
入社試験の際に虚偽の申告をしたという理由で、試用期間終了時に本採用を拒否され、
特定の思想を有することを理由に本採用を拒否することが憲法に違反しないかが争われた。

判旨:「憲法の右各規定(自由権的基本権の保障規定)は、同法第三章のその他の自由権的基本権の保障規定と同じく、国または公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障する目的に出たもので、もつぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない。」「企業者が、労働者の採否決定にあたり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項についての申告を求めることも、これを法律上禁止された違法行為とすべき理由はない。」「企業者は、かような経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇傭するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるのであつて、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもつて雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない

結論:憲法に違反しない(間接適用説)。

 

昭和女子大事件(最判昭49・7・19)

事案:許可を得ないで学外の政治団体に加入したりする行為が、学則の生活要録の規定に違反する
として、学生が退学処分を受けた。そこで、退学処分が憲法19条に違反しないかが争われた。

判旨:「憲法一九条、二一条、二三条等のいわゆる自由権的基本権の保障規定は、国又は公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障することを目的とした規定であつて、専ら国又は公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互間の関係について当然に適用ないし類推適用されるものでない」「退学処分の選択が社会通念上合理性を認めることができないようなものでないかぎり、同処分は、懲戒権者の裁量権の範囲内にあるものとして、その効力を否定することはできないものというべきである。

結論:憲法に違反しない(間接適用説)。

 

日産自動車事件(最判昭56・3・24)

事案:企業内の定年年齢を男子60歳、女子55歳とした男女別定年制は法の下の平等に反しないか。

判旨:「就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分は、専ら女子であることのみを理由として差別したことに帰着するものであり、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法九〇条の規定により無効である

結論:法の下の平等に反する(間接適用説)。

判例は間接適用説に立っているということです。憲法を制する者は法律も制する(諸説あり?)
ということで、特に憲法は得点源にしたい科目ですね。

 

それでは、今日はこのへんで。



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