独学で行政書士 民法のツボ14(法定地上権)

こんにちは。

すごい雨ですね。

学生の場合は警報が出ると学校が休みになるため、嬉しかった思い出がありますが、社会人の場合は憂鬱な気持ちで出勤するハメになりますね・・・(;´Д`)

さて今日は、民法の中でも謎が多い法定地上権についてです。まあ謎が多いというか、
理解しにくい分野ということで、この記事では詳しく説明していきたいと思います。

かなり詳しくまとめていますが、
極論、理解せずに暗記だけでなんとかなるので、参考程度に眺めてください。

 

法定地上権

まず、用益物権のところでは「地上権」というものが出てきます。
これはマイナーな論点なので本ブログでは省略しましたが、

(地上権の内容)
第二六五条 地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。

とされており、簡単にいうと、地上権とは土地の使用権なんですね。
そして、民法265条の地上権は、契約などの地上権設定行為によって初めて発生するのです。
つまり、当事者の合意があって初めて形成されます。

 

一方、民法388条にも地上権があります。

(法定地上権)
第三八八条 土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。

こちらは「法定地上権」という名称です。ここで、265条と何が違うのかというと、法定地上権は、ある要件を満たせば自動的に設定される地上権なのです。
つまり、要件を満たせば当事者が合意していなくても勝手に発生するんですね。

市販のテキストではこのあたりの説明がちょっと省略されているため、法定地上権の意味を整理しておきました。

 

なぜ法定地上権があるのか ~法定地上権の制度趣旨~

では、なぜ民法は、自動的に地上権が発生する場合を規定しているのでしょうか。

例えば、こういう場合ですね。

この事例では、Cが建物を所有することになります。しかし、土地の所有はAに残ったままですね。
そうすると、Cは他人の土地上にある建物を所有しているだけの人であり、土地を使用する権利は持っていない人なんですね。建物を撤去しないとだめです。これでは建物を買い受けた意味がないですよね。
そこで、この不都合を避けるための制度として法定地上権があるのです。

この事例ではCのために法定地上権が発生し、Cは心置きなく土地を使用することができます。

 

また、建物ではなく、土地に抵当権を設定した場合も同様ですね。
土地に抵当権を設定し、Cが土地を買い受けた場合、今度はAが他人の土地上に建物を所有していることになります。
これではAは土地を使用することができないため、今度はAのために法定地上権が発生するのです。

 

このように、土地と建物の所有者が同一ならそもそも問題はないのですが、抵当権の実行によって、土地と建物の所有者が異なることになってしまった場合、建物の所有者は他人の土地を使用する権限がないため、建物を撤去しなければならないことに・・・。
その不都合を解決するための制度が法定地上権なのです。

 

法定地上権の要件

法定地上権の意味がわかったところで、次は肝心の要件です。民法388条の前段部分ですね。

抵当権設定当時、土地上に建物が存在すること

抵当権設定当時、土地と建物の所有者が同一人であること

土地と建物のどちらか一方、またはその双方に抵当権が設定されること

競売の結果、土地と建物の所有者が異なるに至ること

これが法定地上権の要件です。

法定地上権の分野では、判例が多く出題され、しかも難易度が高いのですが、この要件さえ暗記していれば、ほとんどの問題は解けるはずです。判例については、次回取り上げます。

 

今回は、全ての要件につき、簡単な補足をしていきます。

一括競売

まず①の要件ですね。
法定地上権の制度趣旨は、簡単にいうと、建物所有者ひいては建物自体の保護なんですね。土地を使用する権利がないという理由だけで、建物を撤去するのは社会経済上の損失なんです。このように、公益的な理由からも建物を保護しているのが法定地上権ですね。
そのため、当初から土地上に建物がないのならば、そもそも保護すべき建物も存在していないことになるので、法定地上権を設定する意義はないのです。

ただし、もし、抵当権設定後に建物が建築されたらどうなるでしょう。つまり、更地に抵当権を設定した後に建物が建築された場合です。その場合に抵当権が実行されたとすると、法定地上権の要件を満たしていないので、法定地上権は成立せず、建物所有者は建物を撤去せざるを得ないことになりますね。また、建物の取り壊し自体も社会経済的に損失となってしまいます。

そこで民法は、

第三八九条 抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。

としています。つまり、土地と建物を一括して同じ人に売ることができるため、土地所有者と建物所有者が異なるという事態を回避することができるのです。ただし、あくまで土地にしか抵当権が設定されていなかったわけなので、競売代金については、土地の分しか優先的にもらえない点には注意です。

 

抵当権設定当時、土地と建物の所有者が別人の場合

次に、なぜ②のような要件が必要なのか、それを考えたいと思います。

②の要件を満たしていないとき、すなわち、抵当権設定当時、土地と建物の所有者が別人の場合、不法占有でもしていない限り、通常は建物所有者には何らかの土地利用権が設定されています。建物所有目的である借地権とかですね。

そして、そのような地上権はずっと付属するものなんです。つまり、競売で建物を取得した人は、始めから地上権付きの建物を買っていることになりますし、競売で土地が第三者に売り飛ばされても、建物所有者は当初の地上権を新しい土地所有者になお主張できるのです。

通常の地上権は消滅しないのですね。そもそも始めから地上権があるので、わざわざ法定地上権を設定する意義がないのです。

 

抵当権の実行としての競売

③と④の要件ですが、抵当権の実行としての競売が行われたときにしか法定地上権は成立しません。逆にいうと、例えば、単純な売買契約の結果、土地と建物の所有者が別人になっても、法定地上権は成立しないのです。

例えば、土地と建物両方の所有者AがBに建物だけを売る場合、通常は地上権付きで建物を売ります。地上権無しの建物を買ったとしても、Bは土地を使用できないからですね。土地だけを売る場合も同様で、Bは地上権という負担も合わせて土地を買うわけです。地上権の負担無しで売ってしまうと、Aが土地を使用できないからです。

 

このように、単純な売買契約では、その契約内容の中で地上権の取り決めがなされているのが通常なので、わざわざ法定地上権を成立させる意義がないのです。

言い換えると、当事者で地上権の取り決めができない場合に、自動的に地上権が成立するのが法定地上権ですね。その、当事者で地上権の取り決めができない場合というのが競売なのです。

結局、法定地上権とは、当事者間で地上権の取り決めができない場合に、自動的に地上権を発生させることで、不都合を回避するためのものなのです。

かなり難解で混乱しやすいテーマですね・・・。

完全に理解しようとすると、ドツボにはまる危険があるので、ある程度の見切りをつけて学習したい分野ですね。それでは、今日はこのへんで。



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