意外な違い ~民間の内定と公務員の内定~

こんにちは。

先日、ある記事を目にし、公務員の内定についての話を思い出しました。
その記事とは、平成29年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査というもので、
平成29年11月17日に、文部科学省と厚生労働省が共同で発表したものです。

 

その記事によると、大学生の就職内定率は75.2%(前年同期比4.0ポイント増)となり、
平成9年3月卒の調査開始以降、同時期での過去最高となったようです。

就職内定率の概要は、
・大学(学部)は75.2%(前年同期比4.0ポイント増)
・短期大学は39.4%(同2.2ポイント減)
・大学等(大学、短期大学、高等専門学校)全体では72.6%(同3.0ポイント増)
・大学等に専修学校(専門課程)を含めると70.8%(同2.8ポイント増)

となっています。尚、調査は平成29年10月1日現在の状況なので、今後も変動はあります。

上記は、
「平成29年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査」(文部科学省)(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/11/1398336.htm
「平成29年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査」(厚生労働省)(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184815.html
を元にまとめました。

 

まあ、景気がよくなってきていると考えることもできるのでしょうかね。内定をもらっている人の
中には、民間企業と公務員の両方がいると思いますが、近年は相変わらず公務員人気が強いです。

そんな内定ですが、民間の内定と公務員の内定は全くの別であるという話を思い出しました。

大学の行政法の講義で聞いた覚えがあり、ちょっと調べてみたのですが、簡単にいうと、
民間の内定は法律上の約束、公務員の内定はただの紙切れですw

今回は、法律的な視点から、「内定」についてまとめました。

 

そもそも内定とは?

では、そもそも内定とは何か、というところから始めます。内定、正確には採用内定とは、将来の採用を一応約束するもので、一種の労働契約です。

一般的には、新卒の学生がもらうもので、卒業後から雇用されるという内容の契約であり、始期付きの労働契約なんですね。また、誓約書に書かれている事由、例えば、大学を卒業をできなかったとか、犯罪を犯したとかがあれば、内定は取り消されるため、将来契約を解除する余地を残した契約、すなわち、解約権留保付きの労働契約でもあるわけです。解除権留保付きということは、一定の場合なら、内定は取り消すことができるわけですね。

 

あまり聞きませんが、民間の内定が取り消されるということはありえる話で、そこから揉め事に発展していくこともあるでしょうね。実際、民間企業から採用内定を取り消された学生が、採用内定取消しは無効だとして、訴訟で争った結果、採用内定の取消しが解約権の濫用にあたるとして無効とされた判例(最判昭54・7・20)があります。この判例の中で、労働契約とは、始期付解約権留保付労働契約の労働契約であると説明されています。

よって、民間の内定の場合、勝手に内定を取り消されたら、裁判所に泣きつけば助けてもらえるということになります。

 

公務員の内定はただの紙切れ?

民間の場合、内定は労働契約の一種ですが、公務員の場合はどうでしょうか。

まず、公務員の採用というのは、行政庁が一方的に採用内定者に対して、公務員という法的地位を与える行政処分なんですね。そのため、契約である民間の内定とは区別されます。

 

判例(最判昭57・5・27)によると、公務員の採用内定は、「単に採用発令の手続を支障なく行うための準備手続としてされる事実上の行為」に過ぎないとされています。ゆえに行政庁側も、「職員として採用すべき法律上の義務を負うものでもない」とされているんですね。

ということは、行政庁が勝手に取り消すこともできるということになるわけです!
んなアホな!と言いたくなりますが、内定の性質上そうなってしまうんですね・・・。

 

ただ、まだチャンスはあります。勝手に取り消されても、裁判所に泣きつけば助けてもらえるのではないでしょうか。先ほどの判例の続きはこうなっています。

「正当な理由がなく右採用内定を取り消しても、これによつて、右内定通知を信頼し、東京都職員として採用されることを期待して他の就職の機会を放棄するなど、東京都に就職するための準備を行つた者に対し損害賠償の責任を負うことがあるのは格別、右採用内定の取消し自体は、採用内定を受けた者の法律上の地位ないし権利関係に影響を及ぼすものではないから、行政事件訴訟法三条二項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当するものということができず、右採用内定者においてその取消しを訴求することはできない

つまり、内定の取消しの無効を争うこと自体できないとされています。行政法的にいうと、処分性が認められないわけです!

 

ただ、内定者が採用されることを期待して他の就職の機会を放棄しているような場合は、損害賠償だけは請求できるかもしれないということですね。

うーん、冷たいですねえ。一応、公務員の内定はこのように扱うことがまかり通るわけです・・・。
まさに、ただの紙切れですね!

民間と公務員の内定の違いを見てきましたが、公務員の場合は、内定は本当に形だけのもの
なんですね。

上の、公務員の採用内定の判例は、行政書士の過去問でも出題されていることから、
行政法の知識としても、知っておいて損ではないです。

それでは、今日はこのへんで。



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