独学で行政書士 民法のツボ12(抵当権Ⅱ:物上代位)

こんにちは。

今日は、抵当権の続きです。
おそらく民法で一番難解な部分で、長めの記事ですので、注意してくださいw

 

物上代位

ちょっとごちゃごちゃした図になりますが、こんな感じです。
建物が消失すると、抵当権も消えてなくなります。ここで、AはCに対して損害賠償を請求できるの
ですが、Aはちゃんと賠償されるのに、Bはせっかくの抵当権を失ってしまうという不当な結果
になってしまいます。これを許すと、AとCが共謀してわざと抵当権を消滅させることにもなりかね
ませんしね。

そこで、抵当権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭
その他の物に対しても、行使することができる(372条、304条1項本文)とされ、これが
物上代位と呼ばれるものです。上の図では、BはAの損害賠償請求権を物上代位していますね。
まあ、他人(債務者)がもっている権利を乗っ取るというイメージでしょうか。
このように物上代位して、本来の抵当権の代わりに、弁済を受けるのです。

 

物上代位についてはできるものとできないものがあります。

転賃貸料債権とは、賃貸人が賃借人に建物を貸し、その賃借人がさらに別の人に建物を貸した
場合に、賃借人がその貸した相手方(転借人)から受け取る賃貸料の債権のことです。
これについて、最初の賃貸人は、原則転賃貸料債権を物上代位できないとされていますが、
賃借人を所有者と同視することを相当とする場合は物上代位できる(最決平12・4・14)と
されている点には注意ですね。

 

物上代位と差押え

また、抵当権者は、物上代位をするためには、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければなりません(372条、304条1項但書)。さきほどの事例で言うと、BがAの損害賠償請求権を物上代位するためには、CがAに損害賠償金を支払う前に、Bは差押えという手続きをしなければならないということです。
差押えというのは、お金を返してくれないときの最終手段として強制的に財産を弁済のために確保する手段ですね。Cからすれば、Bが物上代位するとか知らんわということで、本当に弁済しなければならない相手を間違えてしまうため、Bが自分に弁済してくださいという合図として差押えする感じです。

 

そして、「「払渡又ハ引渡」には債権譲渡は含まれず、抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる」と判例(最判平10・1・30)はしています。
債権の分野と関わってきますが、債権譲渡をしても、その債権に物上代位できるということです。対抗要件というのは、467条1項の「通知または承諾」です。一旦債権をしてからここに戻ってくる方がいいですかね。
まあ、さきほどの事例でもいいですが、抵当権設定者(債務者)が別の人(第三債務者)に債権を有しており、その債権を別の誰かにあげても、抵当権者(債権者)はその債権について物上代位できるわけです。

 

これは、抵当権の話ですが、先取特権のことろでも同じ話が出てきますね。先取特権の場合は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においては、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができない(最判平17・2・22)とされています。このように似たような内容が色んなところで出てくるのが民法なので、まとめて学習すると効率がいいです。

 

一般債権者と抵当権者の差押えの競合

関連して、「一般債権者による債権の差押えの処分禁止効は差押命令の第三債務者への送達によって生ずるものであり、他方、抵当権者が抵当権を第三者に対抗するには抵当権設定登記を経由することが必要であるから、債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は一般債権者
の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決せられ」るとした判例(最判平10・3・26)がありますね。

 

差押えは債権者や抵当権者ができるわけですが、普通の債権者と抵当権を設定している債権者が競合した場合、どう優先順位をつけるかの話です。
さっきの事例で考えると、Aは別の人Dからもお金を借りていて、Bはもちろん損害賠償請求権を物上代位したいところですが、DもAの損害賠償請求権を差押えするような場合にどっちが優先されるかですが、判例の赤字部分で決まります。
まあ、このあたりはしっかり理解しようとすると、難解な部分なので、判例の文言通りに覚えておくだけで十分だと思います。

 

物上代位と相殺の関係

まず、判例(最判平13・3・13)を紹介します。

抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできないと解するのが相当である。

はい、ワケワカメって感じですね。

では、民法のコツ、事例にしてみましょう。

債権取得の順番や登記の有無はあえて書き込みませんでした。
上の図では、本来ならば、AC間で債権を相殺することができますが、本事例では、Bが、AのCに対する賃料債権(目的債権)に物上代位しようとするわけです。Cからすると、本来できるはずの相殺をしたいですよね。そこで、CのAに対する債権(反対債権)とBの物上代位の関係が問題になるわけです。

 

ここで、判例の文章をそのまま上の事例の文言に置き換えてみます。
「Bが物上代位権を行使して目的債権の差押えをした後は、Cは、抵当権設定登記の後にAに対して取得した債権を自働債権とする目的債権との相殺をもって、Bに対抗することはできないと解するのが相当である。」

こうなるんですね。図の目的債権というのはBからみた場合の言い方です。
さて、ここで重要なのは、CがAに対して有する債権がいつ取得されたのかです。
判例に従うと、Bの抵当権の設定が登記された後CがAに対して債権を取得すれば、CはBに対して対抗、つまり相殺できないのです。逆に、Bの抵当権の設定が登記される前に、CがAに対して債権を取得すれば、CはBに対して対抗、つまり相殺できるのです。

 

こう考えると理解しやすいのではないでしょうか。
登記というのは権利義務関係を公示する手段なわけで、Bが抵当権の登記をしたならば、今後、物上代位されるかもしれないことは外から見てわかるわけです。
そういう状態になった以上、Cは将来相殺できない可能性を覚悟すべき、と考えることができますね。

以上が今回の記事でした。
ちょっと応用の内容なので、需要あるのかなと途中から思い始めましたが、学習の補助に役立ててもらえたらなと思います。

正直、相殺の話は法学部の民法の講義でも難しく、法学部生でも苦戦するところなので、後回しかとばしてもいいですね。

それでは今日はここで。



↓ブログランキングに参加しています。クリックで応援よろしくお願いします。
にほんブログ村 資格ブログへ
にほんブログ村

資格受験ランキング
↓また、意見や要望、記事にして欲しいことなどがありましたら、是非コメントしてください。

意見や要望、何でもコメントしてください。名前とコメント内容のみ公開されます。