独学で行政書士 民法のツボ6(不動産物権変動Ⅱ:取得時効と登記、相続と登記)

こんにちは。

今日は前回の続き、不動産物権変動についてです。

取得時効と登記

まず、取得時効と登記の関係についてですが、不動産を時効により取得した占有者は、元の所有者
に対して、登記がなくても時効取得をもって対抗することができます(大判大7・3・2)。

ただ問題なのは、時効の完成時期です。

 

①時効完成前の第三者

この場合、AはCに対して、登記がなくても時効取得をもって対抗できます(最判昭41・11・22)。
時効取得者は、時効完成前の第三者から不動産を譲り受けたのと同視できるからです。

 

②時効完成後の第三者

この場合は、AはCに対し、登記がなければ時効取得をもって対抗できません(最判昭33・8・28)。
Bを起点として、AとCへの二重譲渡の類似関係となり、AとCは対抗関係になるからです。

 

以上の2つが、取得時効と登記ですが、覚え方としては、
時効取得者Aというのは、時効が完成して初めて登記できることになります。時効進行中は権利を取得
しているわけではなく、時効が完成して初めて権利を取得できるからです。
そのため、時効完成前に第三者Cが出てきた場合、Aにとっては、Cが土地を譲り受けた時には、まだ
時効が進行中なので、この時に登記をすることはできず、Aに登記を求めることはできないので、Aは
登記しなくていいよとなるのです。
対して、時効完成後にCが出てきた場合、既に時効は完成している、つまりAは登記ができる状態です
から、
Aに登記を求めることができ、Aは登記しなければ対抗できないということになるのです。

 

もう1つの覚え方としては、
「~~後の第三者」が出てきたら、対抗関係になるため、当事者は登記をしなければ対抗できない、
とだけ覚えておけばいいですね。理論的なことを理解しなくても、これだけでしのげます。
前回の記事にも出てきましたが、取消後、解除後の第三者とは対抗関係でした。
~~後の第三者の話になったら、登記が必要、とだけ覚えればいいですね。
ただ、制限行為能力と脅迫を理由に取り消す場合だけは例外ですが。

 

ここで、時効の完成前の第三者に対しては登記なくして対抗できるということは、時効の起算点
を操作し、遅めにすることで、わざと第三者の出現後に時効が完成するようにすれば得するやんと
思いますが、判例(最判昭35・7・27)は、「必らず時効の基礎たる事実の開始した時を起算点
として時効完成の時期を決定すべきものであつて、取得時効を援用する者において任意にその
起算点を選択し、時効完成の時期を或いは早め或いは遅らせることはできない」としています。
まあ、セコイことをして得はさせないという当然の判断ですね。時効の起算点は、占有開始時です。

また、第三者の登記後に占有者がなお引続き時効取得に要する期間占有を継続した場合には、
その第三者に対し、登記を経由しなくとも時効取得をもつて対抗しうる(最判昭36・7・20)と
されています。時効完成前の第三者は登記をしても結局、時効取得者に対抗されるので、登記は
無意味ですが、時効完成後の第三者は登記をすれば時効取得者に対抗できるので、登記はするべき
ということになります。ただ、この場合に第三者が登記をした後でも、占有者はさらにもう一度
所要期間を
継続して占有すれば、登記しなくてもその第三者に対抗できるということです。

 

相続と登記

①共同相続と登記

この場合、Cから土地を譲り受けたDに対し、Bは、自己の持分を登記なくして対抗できます。
(最判昭38・2・22)

これは、CがBの持分を自己名義に登記したところで、Cは無権利者である以上、Dはこれを取得する
ことができないため、Dもまた無権利者となるからです。法律以前に、当たり前ですね。

 

②遺産分割と登記

この場合、Bは遺産分割して相続分と異なる権利を取得したことを登記しなければ、Dに対し、
自己の権利の取得を対抗することができません(最判昭46・1・26)。

遺産の分割は、第三者との関係においては、相続によりいったん取得した権利につき分割時に新たな
変更を生ずるのと実質上同じなので、Cを起点にBDへ二重譲渡された関係と類似するためです。
本来の相続分と異なる形にしたのならば、客観的にそれがわかるように登記しないと第三者に
対抗できないということです。

 

③相続放棄と登記

この場合、Bは登記なくして土地の単独所有権の取得をDに対抗できます(最判昭42・1・20)。
相続放棄の効力は絶対的で、何人に対しても、登記なくして効力を生じるためです。
相続放棄した場合、すでに持分を失っているので、相続分は空の状態なわけですね。
だから、空の自己の相続分を譲渡したところで、Dは持分を取得できないのです。

 

相続と登記についてまとめると、
結局、自己の法定相続分を主張する分には登記はいらないけど、
法定相続分と異なる持分を主張するなら、それは登記しないといけない、と覚えればOKです。

これを覚えてしまえば問題は解けると思いますが、もし忘れてしまったとしても、
どう結論づけたら筋が通った考え方になるか、という常識で考えても意外と正解できますw
法律の問題ってそんな感じなんです。

今日のテーマは時効と登記、相続と登記でした。このあたりはしっかり判例を押さえて、事例問題に対応できるようにしておいたほうがいいと思います。

まずは自分で図を書いて、それぞれの法律関係を確認して、判例を整理してみるとわかりやすいかもしれません。そのあとで、過去問を解いて、実際にこなせるか試してみるのもいいです。ただ、今日扱った部分は過去問での出題がちょっと少ないかなという印象なので、過去問で足りないと感じた場合は、模試ですね。
模試には事例問題も多く載っているため、初見の問題に当たることで、実力を試すことができると思いますので、是非挑戦してみてください。

模試についてですが、市販のものでも予備校での会場受験のものでも構いませんが、
個人的には会場受験のものを勧めます。詳しくは、こちらの記事で紹介しています。

 

それでは!



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